アクション・インクワイアリーを学ぶ(4)-7つの行動論理<再定義型・変容者型>-

※本記事は、チェンジ・エージェント社のウェブサイト「アクション・インクワイアリー特集(1)~(5)」より、当社の許可を得て、を転載しております。


訓練の先に得ることのできる行動論理への変容

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前回(3)の記事で紹介した専門家型・達成者型は、自分の中に軸をもって自己を主導することで、効率的に結果を出したり、チームや組織を目標に向けて成果を出したりすることができるという強みをもった二つの行動論理でした。成果の積み重ねから、特定のフィールドにおいて自らの行いに高度に熟達している実感を得ていきます。米国にて約500名の経営者の研究をしたうちの約8割の経営者が専門家型あるいは達成者型の行動論理を主に用いていることがわかりました。

しかしながら、こうした自信や満足感にしがみつくことが、さらなる学習と発達を阻害することがあります。会社の理念と現場の仕事、自分の真実と相手にとっての真実、過去に成功してきた戦略と現在求められているやり方など、これらの間に現に生じている「矛盾」に直面したとき、専門家型・達成者型の行動論理でいては、あらゆる自分や他者、組織の可能性が束縛されているように感じるようになります。こうした矛盾に対し、葛藤や緊張を覚えるだけでなく、自分や組織の前提に疑問が生まれるような新たな価値に出会うことや、それを学び、その場で自分の価値観を新たにしていくことに興味や意味を感じられるようになったとき、次の再定義型・変容者型の行動論理を体験する扉が開かれます。

再定義型

五つ目は「再定義型」の行動論理です。インプットは、そもそものゴールや意図、戦略、行動、結果(第一、第二、第三、第四の体験領域)それぞれの相互関係や矛盾に着目し、アウトプットは、従来の戦略を再評価し、新たに独自のやり方で成果をあげる傾向にあります。この行動論理の良い面は、公明正大な問題提起を厭わず、人それぞれ望む状態や戦略・スタイルも異なるということを尊重し、自他の思考や行動の制限を外し自由にすることです。一方、悪い面は、型にはまらない独自の行動が社内プロセスの軽視と捉えられたり、大組織にあっては、予測不可能な言動や協調性のなさに不快感を与える事もあります。

変容者型

六つ目の「変容者型」の行動論理の主な特徴は、行動中の自己への気づきです。インプットは、進行中の状況において、そもそものゴールや意図、戦略、行動、結果(第一、第二、第三、第四の体験領域)がどのように相互作用しているかに注目した上で、アウトプットとしては、個人・組織において制約となっている戦略や行動を対話によって変えていこうとします。常に「今、誰に対するどんな行動が時宜にかなっているだろうか?」という問いをもち、二次ループの変容を起こしていきます。この行動論理の良い面は、状況や相手により自身の前提やふるまいを柔軟に変えられるので、様々な行動論理同士の衝突や、変化に直面した人間の本能的な抵抗を和らげるのが得意なことです。一方、自分だけでなく他者や組織の「意図」や「ビジョン」そのものを根本から問い直すことにジレンマを抱えます。組織全体が、枠組みを捉え直し、相互的に探究をする三次ループの変容を促すような時宜の見分け方、働きかけ方をするにはどうしたらよいか、変容車型は常に模索しています。

「3次ループ」の変容を起こすタイミングを直観的に察する、最後の行動論理へ

このような模索の結果、他者や組織全体に探究を促すタイミングやその働きかけ方が、そのときそのときの周囲の状況に連動して直観的に身についてきたとき、七つのうちの最後の行動論理「アルケミスト型」へと変容を遂げます。ほんの一握りの限られた人だけが、人生の中でこの行動論理への変容を遂げることができるといわれています。しかし、彼らがどのような範囲に注意を向け、どのような働きかけ方をしているのかを学ぶことで、私たち誰もが、本当に組織や国ごと変容が求められる場面に置かれたときに、何をすればよいかということのヒントを得ることができます。次回、「アクション・インクワイアリーを学ぶ」特集最後の記事を、どうぞお楽しみに。

(つづく)


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